コロナウイルスとの戦いが日本でも1年を経とうとしています。
ここであらためて、「コロナウイルスって何?」と思いまとめました。
インフルエンザとの比較
厚労省の発表するデータ等をもとに算出すると、以下のようになります。
新型コロナの致死率の高さがよくわかります。 例年の感染者数をみるとインフルエンザも意外と感染している!と思いましたが、これは検査で確認された数字ではなく、推定人数だそうです。
過去のウイルスとの比較
ウイルスと人類の戦いは、太古から続いています。
その中でも、大きな被害を受けたものをまとめました。
これをみると、新型コロナウイルスは、ここ40年くらいの中で最もやっかいなウイルスであることがよくわかります。
世界と日本の比較
日本でも感染拡大が進んでいますが、日本の医療提供体制は世界でもトップクラスのため、致死率が低く済んでいます。しかし、12月末より首都圏を中心に感染爆発、感染力の強い変異株の持ち込み等の要因により、現在病床使用率が高まり逼迫した状態です。このままいくと、コロナウイルスとは関係なく手術を控えている方々の治療が行えないなどの関連死を起こす可能性があります。
そもそもコロナウイルスって何?
と言われても、「そもそもRNAって何??」と思う方が多いかと思います。
DNAだったら聞いたことがありますよね?
RNAとDNAについて(高校生物のお話)
RNAとは、リボ核酸(RiboNucleic Acid)を指します。
高校生でおそらく勉強していますが、覚えているでしょうか…。
ざっくりというとDNAに似ています。
DNAとは、デオキシリボ核酸(DeoxyriboNucleic Acid)を指します。
ここで気づくのは、「名前も似ている!」というとこです。
そう、DNAとは、DeoxyしたRNAということです。
Deoxyとは、脱酸素ということです。
とにかくRNAの一部分から酸素をとってあげるとDNAになるわけです。
RNAもDNAも基本的な構造である、リン酸+糖+塩基は同じです。
ただ他にも違いはあります。
- 鎖が1本か2本か
- 糖のパーツに酸素が1つ多くあるかないか
- くっついている塩基のパーツの種類が1種類違う
このような違いです。
RNAとDNAの役割(高校生物のお話2)
おおまかな意味合いとしては、
- DNAは生物の設計図
ということはご存知ですよね。
このDNAをもとにタンパク質を作るんです。
ただ、DNAから直接タンパク質を作ることができず、一度DNAをもとにRNAを作って、そこからタンパク質を作ります。
なので、
- DNA→RNA→タンパク質
といった手順でタンパク質を作ります。
なぜタンパク質を作るかというと、
人間の体は
- 60%が水
- 20%がタンパク質
でできています。体にとってタンパク質は細胞そのものや、筋肉、酵素などを作る重要な物質です。
そのタンパク質を作るための設計図であるDNAは、ヒトの各細胞1つ1つに必ず含まれています。
よって、細胞分裂によって細胞が増える際にこの設計図もコピーする必要があります。ヒトの細胞では、DNAをコピーすることができるのです。
このコピーの能力は、ヒトが成長する際や、子孫を残す際に利用します(体細胞分裂、減数分裂)。
RNAウイルスとは?
話が飛躍しましたが、
で、「RNAウイルスって何?」
RNAウイルスとは、RNAをタンパク質で包んで保護した生物(?)です。
ウイルスは、自分でRNAをコピーして子孫(仲間?)を増やすことができないのです。
なので、他の生物の細胞に入り込んで、その生物が持っているコピー能力を利用してコピーを行うのです。
今回は、
- ヒトを宿主として子孫(仲間?)を増やそう!
という目的で、ヒトに侵入しているわけです。
そして、ヒトの細胞の中でコピーをしているときに、コピーする内容にエラー(写し間違い)を生じることがあります。これが変異と呼ばれるものです。
新型コロナの変異株って?
以下のサイトには、世界中460を超える施設で分析されたコロナウイルスの遺伝子の情報が集約されており、どのように変異しているかの追跡を行っています。
これをみると、コロナウイルスがものすごく変異していることがわかります。
はじめに中国の武漢から現れたウイルスは、コピーを続ける中で確認できているだけでこんなに種類を増やしています。
これだけ変異してれば、中にはとても強力なウイルスが発生してもおかしくないですよね。
これを大きく分類すると5種類に分けられるそうです。
- 19Aと19Bは武漢で出現し、初期の感染拡大では主要でした。
- 20A は 19A から出現し、3月のヨーロッパでの流行の多くを占めで、その後世界的に広がっています。
- 20B および 20C は、20A の大きく、遺伝的に異なる副系統群です。
日本では19Aと20Bが流行しているそうです。
新たにアフリカでの強力な変異種も確認されていますので、さらに増えているのでしょう。
感染すると何が起こるの?
普段の防衛
ヒトの体内にウイルスが入り込むと、ウイルスを体外に出そうとしたり、ウイルスを殺そうとしたりします。
ヒトには、体内に入ってきたウイルスを食べて殺してくれる食細胞(主に好中球やマクロファージ、樹状細胞)がいます。
この仕組みを「自然免疫」といいます。
カゼをひくと熱や、鼻水、咳の症状が出るのはこのためです。
熱が出るのは、食細胞は体温より1〜2度くらい高いとより活発に働くからです。
手強い相手に
食細胞が戦ったウイルスの断片をもとに、T細胞・B細胞と呼ばれるリンパ球を導入します。
キラーT細胞は通称「殺し屋」、ウイルスに感染したヒトの細胞をウイルスもろとも破壊します。これ以上ウイルスをコピーさせないためです。
B細胞は、抗体を作ります。これによってウイルスを排除します。
この仕組を「獲得免疫」といいます。
また、この獲得免疫は保存されるので、次に同じRNAを持つウイルスが来たときには、すぐに反応して攻撃して倒せるようになっています。
これを利用したのがワクチンですね。
コロナの場合は?
コロナウイルスは様々な能力を持っており、巧みにヒトの免疫システムを欺いて増殖をしているそうです。変異の中でより強力なものが現れてしまうと、感染力や致死率を上げる要因となってしまいます。
ウイルスの目的は前述したように子孫(仲間?)を増やすことですから、宿主(ヒト)を殺してしまうのは実は不本意なんです。ただ、自分たちがやられないように頑張りすぎて宿主を殺してしまうことがあります。
よって、致死率が上がると逆に感染が感染者数は下がることがあるそうです。
終わりに
様々なものを利用して勉強をしてまとめました。
誤りがあった場合は、ぜひお伝えいただけると幸いです。
個人的にはNHKスペシャルが非常にわかりやすかったと思いましたので、最後にご紹介させていただきます。